Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
Group分類困難例とされた生検組織標本の検討に参加した.約50例の診断困難例を限られた時間で診断していくことは簡単ではなく,これまで本誌で行った症例検討と同様であった.検鏡後のコメントを求められたが,現時点では切除標本と対比した結果は知らされておらず,生検診断が正しいものであったかどうかは不明である.したがって,検鏡の際に感じた症例提示の問題点と,検討で用いたGroup分類あるいはCategory分類をどのように運用したのかについて述べる.
検鏡時に感じたことは,臨床情報が十分ではない症例が含まれていた点である.すなわち,①症例の臨床所見が簡単に記載されていたが,大きさ,肉眼型の不明な症例があった,②肉眼所見を提示していただきたかった,③病変のどのようなところから採取されたのかがまったく不明であった,④症例によっては他の部位の所見を必要とした,などが挙げられた.日常の生検で診断に迷う症例に遭遇した場合には,必ず申し込み用紙の臨床所見を吟味し,可能であれば臨床医に問い合わせをしている.さらに臨床医とともに内視鏡写真の検討を加えることにより,組織異型所見に対する解釈がより正確になることは少なくない.消化管を専門とする病理医は切除標本の肉眼所見を検討しているだけでなく,様々な検討会でX線あるいは内視鏡所見との対比に参加し,組織診断へのフィードバックを重ねている.したがって,Group分類困難例という診断の難しいものを扱うのであれば,簡単な文章による臨床情報だけでなく,実情に即した形での症例提示が望まれた.また,いくつかの標本は退色あるいは染色が薄く,組織所見が捉えにくいものであった.診断の質を問うのであれば,できるだけよい条件で提示されるべきであろう.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.