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2004年5月26日~28日に,京都で開催された第67回日本消化器内視鏡学会総会〔勝健一会長(大阪医科大学第2内科教授)〕に,前日のサテライトシンポジウム「胃と腸」大会から参加した.京都ホテルオークラで開催された第43回「胃と腸」大会は,学会前日にもかかわらず多数の参加者で熱気にあふれていた.近畿地区の担当運営委員の方々の選考症例は,いずれも興味を引かれるもので,提示された6症例すべてが非常に勉強になった.6症例目のcollagenous colitisは,珍しい所見を呈していたが,学会の一般演題でも他施設から同様の病変がポスターで提示されており,強く印象に残った.
学会初日午前は,一般演題「大腸pit pattern診断」とVTRワークショップ「切開・剥離法によるEMRの手技と工夫」に参加した.拡大電子スコープをルーチンに使用している内視鏡医にとって,大腸病変に対するpit pattern診断の有用性については,これまでの学会の討論を振り返っても,揺ぎないものとなっている.しかし,まだ解決していかなくてはならない問題も残っていて,今回pit pattern診断の演題にほぼ共通していたV型pit patternに関する話題もその1つである.これから世界に向けて発信すべく,国内でも混乱していたV型pit patternの亜分類も統一された(厚生労働省工藤班・箱根シンポジウム).今回の一般演題では,その整合性についても検討され,今後さらに突っ込んだ議論が展開されていく予感がした.昭和大学横浜市北部病院消化器センターの工藤進英教授が先駆者として啓蒙してきた,本邦発祥のpit pattern診断であるが,近年欧米からも論文が出てくるようになってきた.日本のcolonoscopistも国内外の学会や研究会の発言・発表で満足していては,早晩欧米にお株を奪われかねない状況に直面する可能性が出てくる.大学に限らず,各施設の仕事は必ず英文誌に投稿し論文として残す必要があると,痛切に感じた.
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