今月の主題 白血病—研究と診療の最新情報
分子病態からみた病型分類
慢性骨髄性白血病の急性転化と遺伝子異常
平井 久丸
1
1東京大学医学部第3内科
pp.609-611
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402910102
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●慢性骨髄性白血病(CML)は,多能性造血幹細胞レベルの疾患であり,90%以上の症例にPh1染色体が認められる.Ph1染色体はt(9;22)の結果であり,この染色体上でBCR/ABLキメラ遺伝子が形成される.ほとんどの症例が急性転化を起こし,この際に80%以上の症例に付加的染色体異常が加わる.この付加的染色体異常と急性転化の関連が注目されているが,実際にi(17q)を持つ急性転化では,両方のアレルでp53遺伝子が不活化されていることが示されている.しかし,急性転化の分子機構はその多くがいまだ不明であり,今後の解明が待たれる.
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