増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
サイトカイン
TNF(腫瘍壊死因子)
川上 正舒
1
1自治医科大学附属大宮医療センター総合医学I
pp.688-689
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909988
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検査の目的・意義
TNF(tumor necrosis factor)は癌細胞を選択的に壊死させるサイトカインとして発見されたが,現在ではその作用は腫瘍細胞のみならず,免疫系,中枢神経系,血管,肝臓,脂肪組織を含む全身の正常な組織・器官に及び,またその作用も極めて多彩であることが知られている1).これらの作用の中には免疫反応や炎症反応を促進するものが多く,いわゆる生体防御に重要な役割を持つと考えられているが(図1),同時に感染や免疫反応を原因とする疾患の多くに関わりを持つことも推測され,感染症,癌,自己免疫性疾患患者において,血液,髄液,尿,腹水,関節液中のTNFが測定されている.しかし,生体材料中のTNF濃度は極めて低く,これを測定するには十分な感度を持つ方法がないことと,TNFはホルモンとして血中を循環するだけでなく,分泌局所における作用が重要であることから,TNFの測定は現在のところ研究目的が主であり,日常臨床における測定の意義は未だ確立されていない.
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