増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
細胞性免疫検査
リンパ球表面マーカー—two-color,three-colorを中心に
中原 一彦
1
1杏林大学医学部臨床病理
pp.654-658
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909977
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検査の目的・意義
リンパ球は,形態学的にはせいぜい大リンパ球,中リンパ球,小リンパ球に分けられるぐらいで,それ以上の細かい分類は不可能である.しかも,このようにリンパ球を大きさで分ける意味はほとんど存在しない.しかし,リンパ球の膜表面には他の細胞と同様,それぞれの細胞に特有な抗原が分布している.これらの抗原を指標としてリンパ球を細かく分類することは,その分化段階や機能を知るうえで大変大きな意味がある.膜表面にある抗原を,それと特異的に反応する抗体を用いて検索することをリンパ球表面マーカーの検索という.リンパ球表面マーカーの検索は,特にリンパ性白血病や悪性リンパ腫などのリンパ球性血液疾患の診断や予後の判定に非常に大きな偉力を発揮する1).また,その他の疾患の病態解析にも有用である2).
このような分析には,1種類の抗体ならびに蛍光色素を使う単染色(single-color)でも十分にこと足りるが,さらに2種類(two-color),3種類(three-color)の抗体と蛍光色素をうまく使用すれば,より一層詳細な検討が可能となる.本稿ではtwo-color,three-color染色を中心に,リンパ球表面マーカーの概説を行う.
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