技術解説
抗ストレプトリジンO(Anti-streptolysin O)価の測定
田所 一郎
1
TADOKORO ICHIRO
1
1東京大学伝染病研究所
pp.215-220
発行日 1964年3月15日
Published Date 1964/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916741
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まえがき
ここ数年来,レンサ球菌感染症(streptococcalinfection)あるいは溶レン菌感染症という言葉が注目をあび,細菌検査室に提出される各種の検査材料についても溶血性レンサ球菌(Streptococcushemolyticus,以下溶レン菌と略す)に目標をおいた検査を依頼されることが少なくない。
溶レン菌によって起こす疾患として知られているのはフルンケル,カルブンケル,膿痂疹,ひょうそう,中耳炎,外耳炎などの皮膚あるいは粘膜の化膿症(このために本菌はブドウ球菌と共に化膿菌と呼ばれている),咽頭炎,副鼻腔炎,気管支肺炎などの呼吸器の炎症,化膿性髄膜炎,敗血症,産じゅく熱,腎孟腎炎などの深部臓器での化膿症,さらには本菌の産生する発赤毒素(Erythorogenictoxin)が主要な役割を果す猩紅熱,または本菌による生体の感作と深い関連があると考えられるリウマチ熱や急性腎炎などがあり,病像が多彩であることが本菌感染症の特徴とされている。
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