増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
感染症関連検査
その他の微生物の抗原・抗体検査
エンドトキシン
斧 康雄
1
1帝京大学医学部第2内科
pp.582-584
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909948
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検査の目的・意義
エンドトキシン(Et:菌体内毒素)は,グラム陰性桿菌の外膜を構成するリポ多糖体(lipopolysaccharide:LPS)であり,その構造は一般にO抗原多糖,コア(R抗原)多糖,lipid A(抗原)から構成されている.その中でlipid AがEtの生物学的活性の中心を担っている.Etは感染に際して,発熱,ショック,播種性血管内凝固症候群(DIC)など生体に対して有害に作用することは周知のことであるが,抗腫瘍活性や感染防御能亢進作用など生体に対して有益に作用するなど,多彩な生物学的活性を有することが知られている(表1).
臨床の場における体液中Etの測定は,感染症の起炎菌がグラム陰性桿菌であるか否かの早期診断への臨床応用のほかに,敗血症や原因不明のショック,重篤なグラム陰性桿菌感染症,DIC,成人呼吸窮迫症候群(ARDS)などの致命的な疾患を有する患者の病態を解明し,早期にその対策を立てるうえで意義がある.
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