増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液検査
凝固/線溶系検査
トロンボテスト/ヘパプラスチンテスト
福武 勝幸
1
,
杉村 大作
1
1東京医科大学臨床病理
pp.312-313
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909842
- 有料閲覧
- 文献概要
検査の目的・意義
トロンボテストとヘパプラスチンテストは,肝で産生されるビタミンK依存性凝固因子を総合的に測定するためにプロトロンビン時間(PT)に改良を加えたものである.
1)トロンボテストは希釈したウシ脳トロンボプラスチンと精製セファリン(リン脂質)にフィブリノゲン,V因子などの補充源としてウシ吸着血漿を加えることにより,ビタミンK依存性凝固因子(FII,FVII,FX)活性の変化を鋭敏に検出する.また,ウシ脳トロンボプラスチンは,ビタミンK欠乏状態やワーファリンなどの経口抗凝固療法により産生されるPIVKA(proteins induced byvitamin K abscence)に対する感受性が高く,凝固が強く抑制されるため,わが国ではしばしば経口抗凝血薬療法のコントロールに用いられている.トロンボテストは,因子の低下とともにPIVKAによる抑制作用を反映するため,抗凝血薬にてFII,FVII,FXが低下した者と肝障害にて同程度の因子レベルに低下した者では前者のほうがより強く延長を示す.本法の測定範囲は5〜100%であり,低値域での測定精度が高いのが特徴である.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.