特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液検査
凝固・線溶系検査
トロンボテスト,ヘパプラスチンテスト
村田 満
1
1慶應義塾大学医学部臨床検査医学
pp.92-93
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104700
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トロンボテスト(TT)
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
トロンボテスト(thrombo test:TT)は凝固因子活性を総合的に測定する検査の1つである.肝臓でビタミンK依存性に合成される凝固因子(Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ)のうちⅡ,Ⅶ,Ⅹの消長を反映する.これらの因子が低下した場合に異常(延長)となる.内因性凝固阻害物質であるPIVKA(proteins induced by vitamin K absence)-Ⅱ(ビタミンK欠乏またはビタミンK拮抗薬で誘発される蛋白)の影響を受け延長するため,後述のヘパプラスチンテスト(hepaplastin test:HPT)が肝機能(合成能)評価に用いられるのと対照的に,TTは主に血液凝固能の評価に使用される.
TT試薬中にはウシ大脳由来組織因子(tissue factor:TF),Ⅰ(フィブリノゲン),Ⅴ,Ⅷ,XI,XII因子を含むウシ血漿,カルシウムなどを含む.患者検体中のⅡ,Ⅶ,X因子がTT試薬に添加されると凝固が起こる.本検査は検体中のⅤ因子とフィブリノゲン濃度に依存せず,検体中のプロトロンビン(Ⅱ因子)に最も高い感受性を有する特性をもっている.Ⅶ,X因子の低下も反映させた複合因子活性測定検査である.
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