増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
脂質・リポ蛋白
LCAT(レシチン-コレステロールアシルトランスフェラーゼ)
前田 英一
1
,
芳野 原
2
1神戸大学医学部第2内科
2東邦大学医学部臨床検査医学
pp.192-194
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909803
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検査の目的・意義
LCAT(lecithin-cholesterol acyltransferase)は血漿中で主要なリン脂質であるレシチン(phostatidylcholine)の2位のアシル基(主として不飽和脂肪酸)をコレステロールの水酸基に転移する反応を触媒する酵素である.血漿中のコレステロールの約70〜80%は脂肪酸エステルとしてリポ蛋白粒子の核の部分に存在しているが,その大部分はHDL粒子上でLCATによって生成されたものである.HDL上でエステル化されたコレステロールは,その疎水性のためにHDL粒子の中心部に移行するか,コレステリルエステル転送蛋白(CETP)によって他のリポ蛋白に移動する.HDLはさらに末梢細胞より余剰なコレステロールを引き抜くことが可能となる.このように,LCATはコレステロールの末梢からの引き抜きや肝への逆転送に主要な役割を担っているが,一方,リン脂質の代謝という点でも重要である.
本酵素活性の測定の主たる目的は脂質代謝異常症における病態の解析であるが,LCATは肝で合成される半減期の短い糖蛋白であることから,肝の合成能の指標として用いられることもある.
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