増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
酵素,肝機能検査
Ⅳ型コラーゲン,ヒアルロン酸
池田 均
1
1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学
pp.208-209
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223256
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検査の概要
ウイルス,アルコール,薬剤,過栄養,自己免疫機序などの原因にかかわらず,肝臓への障害が継続(慢性化)すると,これに対する創傷治癒機転が持続するため,肝臓には線維成分が沈着し線維化をきたす.線維化が高度に及ぶと肝硬変症となり,肝機能の低下,門脈圧亢進症などにより予後不良の病態となる.すなわち,線維化の程度の把握は診療上,重要である.また,わが国で慢性肝臓病の原因として最も頻度の高いC型肝炎においては,治療法の進歩によりウイルスを排除し完治を目指すことが可能となってきたが,一般に線維化が進んだ症例では,治療効果が低いことが明らかとなっている.したがって,C型肝炎の治療効果を推定するためにも線維化の診断は重要となっている.この肝線維化の程度を判断するための血液中マーカーとして頻用されているのがⅣ型コラーゲン,ヒアルロン酸である.
◆感度・特異度
【ヒアルロン酸】肝臓の線維化に最も特異的であり,特に進展した肝線維化の診断に有用とされるが,線維化を伴う肝疾患以外にも,関節リウマチ,変形性関節症などの関節障害を伴う疾患や,強皮症,皮膚筋炎,血管炎などの膠原病関連疾患,悪性リンパ腫,乳癌などの悪性腫瘍でも上昇する.また,腎臓でも代謝されるため,腎不全でも上昇することが知られている.
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