増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
糖質および関連物質
尿中微量アルブミン/尿中トランスフェリン
倉本 充彦
1
,
金塚 東
1
,
土田 弘基
2
,
牧野 英一
1
1千葉大学医学部第2内科
2国立佐倉病院内科
pp.138-140
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909783
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検査の目的・意義
尿蛋白は陰性であるが尿中アルブミン排泄が亢進している時期,すなわち微量アルブミン尿を呈する時期を早期腎症(incipient nephropathy)と定義して,糖尿病性腎症をより早期に診断し治療する試みがされている1).
糖尿病性腎症において,尿蛋白が陽性となる時期にはすでに非可逆性の糸球体病変が存在することが知られている.しかし,早期腎症の時期であれば,血糖と血圧の厳格なコントロールにより腎症の進展を防止し,回復することも可能であることが示唆されている.また,微量アルブミン尿を呈する症例の多くは後に持続性蛋白尿を呈し,糖尿病性腎症に移行することが明らかにされている.したがって,尿中アルブミンを測定し,早期腎症の有無を確認して,糖尿病患者を管理・治療することは大変重要である.
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