検査ファイル
尿中マイクロトランスフェリンの測定
梶川 達志
1
,
河西 浩一
1,2
1香川医科大学附属病院検査部
2香川医科大学臨床検査医学
pp.1090
発行日 1995年12月1日
Published Date 1995/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902577
- 有料閲覧
- 文献概要
糖尿病性腎症は,糖尿病患者の予後を大きく左右する重大な合併症である.従来,腎症の診断は,試験紙法などによる尿蛋白陽性をもって行われてきたが,その感度は30mg/dl(300mg/日)程度であり,これは腎病変が不可逆的となった顕性糖尿病性腎症の時期に当たる.腎症の発症と進展の予防には,より早い時期の診断が必要であり,尿中マイクロアルブミンの測定が行われるようになった1).尿中アルブミンとトランスフェリン値との間には強い相関関係があり,尿中トランスフェリンの測定は,アルブミンの測定と同等の価値があると考えられている.
トランスフェリンは,分子量79,570ダルトン(Da)とアルブミン(69kDa)よりやや大きい1本鎖ポリペプチドで,2つの相同性を有した領域からなり,それぞれに鉄結合部位を1つ持つ.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.