特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
糖質および関連物質
尿中微量アルブミン
古家 大祐
1
1金沢医科大学糖尿病・内分泌内科
pp.218-220
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104747
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
■尿中微量アルブミン尿の出るメカニズム
腎糸球体毛細血管壁は,内皮細胞,糸球体基底膜,そして,上皮細胞の3層構造である.特に内皮細胞は約200~400nmのプロテオグリカンなど細胞表面を覆う糖と結合した化合物〔グリコカリックス(glycocalyx)〕に覆われている.したがって,水は自由に濾過されるが,分子量の大きいアルブミン(約67,000)などは濾過されない,つまり,尿中に漏れない仕組みとなっている.
実際に,マウスにプロテオグリカン分解酵素を投与するとチャージバリアが障害され,アルブミンが尿中に漏れ出てくることが示されている1).糖尿病状態でみられる腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)-αや酸化ストレスの亢進によってグリコカリックスが障害され,さらに血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)がアルブミン透過性を亢進させる.
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