増刊号 図解 診療基本手技 第2集
病歴のとり方
インフォームドコンセント
伊賀 六一
1
1東京都済生会中央病院
pp.22-24
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909641
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新医療法が国会で可決承認され,わが国の医療社会でも「インフォームドコンセント」を現実の問題として把握し,対応の在り方について具体的な検討が迫られる段階にきた.新医療法で「医療の担い手が,医療を提供するにあたり,適切な説明を行い,医療を受ける者の理解を得るよう配慮することに関し,検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること」という付則が加えられ,インフォームドコンセントが法の形で医療に導入される素地ができたからである.
アメリカではインフォームドコンセントの内容と範囲が法的に確定されている.すなわち,それは医師としての義務と責任であり,患者の立場からは当然の「知る権利」,「自己選択権」であり,それが十分でない場合には,法的な責任が問われる.そのため米国では医療訴訟をあおる結果となり,防衛的医療のため医療費高騰の一因となるという矛盾した現象をもたらした事実も全く否定できない.このようにインフォームドコンセントが法として確定されることは,一歩間違えば問題の本質から外れた方向に進展する可能性もある.
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