増刊号 図解 診療基本手技 第2集
病歴のとり方
病歴のとり方の具体例(3)—感染症・発熱
伊藤 澄信
1
1国立東京第二病院・総合診療科
pp.20-21
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909640
- 有料閲覧
- 文献概要
●病歴のとり方
健康であった人が急に発熱したときは一般に感染症を疑うが,症状の経過を注意深く聞くことによって原因疾患を推定することができる(表1,2).感染症で高い発熱を生じる臓器は実質臓器で,胃,腸管,膀胱などの管腔臓器では一般には高熱を発することはない.呼吸器系感染(肺炎,上気道炎),腎盂腎炎,胆道系感染が発熱をきたす感染症のビッグ3である.
熱型はときに病因を探るうえで有効なことがある(表3).体温の1日平均値は年齢とともに低下する.発熱パターンは通常朝6時頃に低く,夜10〜12時頃にかけて最高に達する変動を示す.体温の上昇時に悪寒,体温降下時に発汗が起こる.高齢者,腎不全,肝硬変患者では体温上昇が顕著でないことがある.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.