今月の主題 最新の肺癌診療
最新の治療
肺癌の手術療法
成毛 韶夫
1
,
野坂 哲也
2
1国立がんセンター・手術部
2国立がんセンター・外科
pp.468-471
発行日 1991年3月10日
Published Date 1991/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909617
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肺癌患者は急速に増加しており,その死亡数も年々増加し,先頃発表された1988年度の人口統計でも死亡数は胃癌についで男女とも2位であり,まもなく第1位になることが予測されている.CTやMRIなど最新の機器の導入により肺癌の診断法は著しく進歩しているにもかかわらず,その切除率はいまだ40%程度であり,非切除例を含めた肺癌全体の5年生存率は20%と胃癌などに比較して治療成績は不良である.その理由は,患者の75%が来院時すでにIII・IV期の進行癌であることに他ならず,肺癌においてもやはり早期発見,早期治療がきわめて重要であると言えるであろう.また,他の癌と比べ多種類の組織型による進展の多様性が治療をより困難なものにしていることも挙げられる.実際に肺癌患者を治療するにあたって,その治療方法は患者の病期・組織型・全身状態を把握した上で決定されることになる.ここで述べる手術療法も日々進歩し安全性も向上,国立がんセンターではより早期の離床を目指すことにより,多くの患者が手術後2週間以内に退院して行くのが現状である.以下,各種の手術療法とその適応,成績について述べてみたい.
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