今月の主題 白血病—最新の知見と治療
治療
小児急性リンパ性白血病の治療
細谷 亮太
1
1聖路加国際病院・小児科
pp.592-598
発行日 1990年4月10日
Published Date 1990/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909519
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過去20年ほどの間に,急性リンパ性白血病(ALL)の治療は飛躍的な進歩をとげた.しかし,悪性腫瘍のために死亡する子ども達の死因のトップは,今なお白血病なのである.わが国では毎年約1,000人の子どもが悪性腫瘍で命を失うが,そのうち約450人は白血病である.ここ10年,私達小児悪性腫瘍学を専門とする者がようやく抱き得た「小児のALLは完治させ得る疾患である」という考えは,一部の治療しやすいALLについては正しい.しかし乳児や思春期の子ども達に起こった白血病の約半数から2/3は,最新の治療をもってしても救命し得ず死の転帰をとる.まだまだ先のみちのりは長くけわしいといえよう.この小文では,現在のALLの治療の現状を述べ,その問題点についても触れてみる.
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