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処方箋を書く前に
阿部 正和
1
1東京慈恵会医科大学
pp.176
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908999
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私は昭和21(1946)年2月,国立東京第二病院(現 国立病院東京医療センター)内科に着任した.その年の3月,新しい院長として慶応義塾大学医学部内科の初代教授・西野忠次郎先生が就任された.そして昭和30(1955)年3月までの足掛け10年間,私は西野先生直々に内科診療の手解きを受ける幸せな機会に恵まれた.先生は,薬物療法についてはあまり細かいことを言われなかったが,今でも忘れられない思い出が2つ残っている.
「高価薬を使わなければならない病気かどうか,はっきり確かめなさい.使うにしても患者の経済的な状況をよく考えて,慎重に処分しなければいかんよ.せっかく病気を治そうとしても,経済的に患者を殺すこともあるからね.」
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