連載 栄養指導・栄養管理に活かしたい 食物繊維学の新常識⑧
短鎖脂肪酸(SCFA)の機能
荻原 夕海
1
,
長谷 耕二
1
Yumi Ogihara
1
,
Koji Hase
1
1慶應義塾大学大学院 薬学研究科
キーワード:
短鎖脂肪酸
,
酪酸
,
ヒストン脱アセチル化酵素
,
腸管免疫
,
IgA
,
制御性T細胞
,
炎症性腸疾患
Keyword:
短鎖脂肪酸
,
酪酸
,
ヒストン脱アセチル化酵素
,
腸管免疫
,
IgA
,
制御性T細胞
,
炎症性腸疾患
pp.211-217
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn145020211
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
短鎖脂肪酸(short-chain fatty acid:SCFA)である酪酸,プロピオン酸,酢酸は腸内細菌が主に食物繊維を基質として発酵を行うことで生じる代謝産物である.SCFAは腸上皮細胞の増殖促進や脂肪酸合成の基質となるなど,エネルギー源として重要な機能をもつことに加え,短鎖脂肪酸受容体を介して免疫細胞に作用し,免疫応答を制御する働きをもつ.食物繊維の摂取は,SCFAの作用を介して肥満や生活習慣病,自己免疫疾患,アレルギー疾患などの発症や重症化を抑制することがわかってきている1).
本稿では,腸内細菌代謝物であるSCFAの免疫細胞に対する作用を紹介し,さらに,免疫疾患の発症や重症化抑制に対するSCFAの効果を最新の知見を含めて概説する.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.