プライマリケアにおけるShared Care—尿失禁患者のマネジメント・1【新連載】
尿失禁におけるshared careについて
福井 準之助
1
1聖路加国際病院泌尿器科
pp.1761-1767
発行日 2001年10月10日
Published Date 2001/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908345
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尿失禁におけるshared careの必要性とその背景
65歳以上を高齢者とすると,1950年のわが国における人口の高齢化率が4.9%であったのに対し,2000年では17.2%とこの50年間に著しい上昇を示し,2050年には32.3%(現在の東京の人口に匹敵)にまで高齢化率が進行すると予想されている.わが国において,このような人類がかつて経験したことのない高齢化社会を迎え,高齢者の三大症候(痴呆,失禁,転倒からの寝たきり状態)の一つである尿失禁の増加は,避けることができなくなった.排泄は飲食と同様に日常生活を営むうえでの基本的な行為であり,この障害によって患者が被るQOLの低下は計り知れない.また,尿失禁は直接生命を脅かす症状・症候ではないが,上述したように患者や介護者が日常生活においてQOLを著しく損なうために,可能な限り早期に対応する必要がある.
QOLに代わって「生活の質を考慮に入れて調節した生存率(quality adjusted life year:QALY)」が,QOLの程度と時間経過から計算できる指標として用いられるようになり,疾病の予防や治療の効果を客観的に判断する指標として役立っている.
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