図解・病態のメカニズム—呼吸器疾患・10
耐性菌の発生メカニズム
平泻 洋一
1
1長崎大学医学部附属病院検査部
pp.1420-1424
発行日 2001年8月10日
Published Date 2001/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908271
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はじめに
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)が社会的な問題となって以来,薬剤耐性菌に対する関心が深まっている.しかし,1940年代にペニシリンの臨床使用が開始された直後には,ペニシリナーゼと呼ばれるペニシリンを分解する酵素を産生し,ペニシリンに耐性を示す黄色ブドウ球菌が発見されている.さらにこのようなペニシリナーゼ産生黄色ブドウ球菌に対して,ペニシリナーゼに安定なメチシリンが合成されたが,その直後にはMRSAの出現が報告されている.細菌は人類の想像をはるかに超えた適応力を有しており,抗菌薬の開発使用の歴史は,同時に新しい薬剤耐性菌の出現の歴史となっている.
本稿では,現在臨床上問題となっている,あるいは今後問題となる可能性の高い薬剤耐性菌のなかで,呼吸器感染症の原因菌として重要なものにポイントを絞って,その発生および伝播のメカニズムについて概説する.
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