Scope
慢性肝炎診療の基本(前編)—疫学・病態メカニズム編
沖田 極
1
,
日野 啓輔
1
,
山口 裕樹
1
1山口大学医学部第一内科
pp.311-315
発行日 2001年2月10日
Published Date 2001/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908014
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はじめに
医学の分野は基盤系(基礎医学)から展開系(臨床医学)まで多岐にわたり,またおのおのの系についても領域別に分かれている.したがって,医学の分野には研究会を含めるとおそらく数えきれないほどの学会が存在するはずである.それぞれの学会では,その領域をどのように進歩させるかについて議論を行い,例えば展開系であれば病める人々の救済の道を探るのである.しかし,一般的に言って,これまでの学会は医師や科学者同士の議論が主体であり,そこでの議論が対象となる病める人々へどのように還元するかについてはないがしろにされてきた感がある.日本肝臓学会は数百万人にも及ぶ肝炎ウイルスキャリアの存在,そしてその方々がいきつく肝硬変,肝細胞癌による死亡者数の逐年的増加を危惧し,1999年から行政,報道機関,さらに国民向けに白書1)やパンフレット2)を発行し,情報の開示に取り組んできた.そして,2000年度にはこれらの患者が最初に訪れるであろう第一線の医療機関向けに『慢性肝炎診療のためのガイドライン』を日本肝臓学会より発行し,慢性肝炎診療におけるコンセンサスを広く医療機関に浸透させることによって病める人々があまねく標準化された医療を受けられる体制作りを考えている.
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