特集 ウイルス肝炎の疫学と予防
ウイルス肝炎の疫学—C型肝炎の疫学
富平 正子
1
,
前田 栄樹
1
,
有馬 暉勝
2
Masako TOMIHIRA
1
,
Eiki MAEDA
1
,
Terukatsu ARIMA
2
1鹿児島大学第2内科学教室
2鹿児島大学第2内科学
pp.749-751
発行日 1990年11月15日
Published Date 1990/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902910
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■はじめに
非A非B型肝炎(NANB型肝炎)は肝硬変および肝癌の原因として重要であり,また輸血後肝炎の90%以上を占め,散発性肝炎の20〜40%を占めている.しかしその診断は他の肝炎ウイルスの感染を除外し,さらにアルコールや薬剤の関与を否定することが必要であった.
1988年アメリカのChiron社グループ1),また有馬らにより2),C型肝炎ウイルス由来のRNA断片が発見され,HCV関連抗体の測定法は急速に進歩した.これらの測定系を用いて非A非B型肝炎のHCV抗体陽性率を調べると,高率に検出されている.さらにさまざまな肝疾患でHCV関連抗体の検索が行われ,C型肝炎の臨床成績が相次いで報告されているが,これらは抗体検査でありキャリアおよび病因としてはfalse positiveおよびfalse negativeが存在すると考えられる.本稿では,これらの成績をもとにC型肝炎のわが国における疫学を,本教室での測定系の異なるHCV抗体検出率の異同も交えてまとめた.
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