今月の主題 内分泌疾患診療と研究の最前線
多発性内分泌腫瘍症
多発性内分泌腫瘍症における遺伝子異常
吉本 勝彦
1
,
斎藤 史郎
2
1徳島大学医学部臨床分子栄養学
2徳島大学医学部第1内科
pp.416-419
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907929
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ポイント
●MEN1型では下垂体,副甲状腺,膵腫瘍のいずれにも,第11染色体にLOHが認められ,これらの3つの内分泌腺の腫瘍化は,MEN1遺伝子の機能消失を共通の基盤として発生することを示唆する.
●MEN2A型と2B型では,原因遺伝子が存在する第10染色体のLOHは腫瘍ではほとんど認められない.したがって,MEN1型や網膜芽細胞腫とは異なった機序で腫瘍化をきたす可能性が考えられる.最近,MEN2A患者にgerm-lineレベルで,ret遺伝子の変異が高頻度に認められることが報告されている.
●現在,原因遺伝子近傍に存在するDNAマーカーを用いてMENの保因者の遺伝子診断が始められている.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.