“One More Step”
腹部エコー診断ことはじめ—その後
竹内 和男
1
1虎の門病院消化器科
pp.261
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907747
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「腹部エコー診断ことはじめ」(p257)のエピソードがあってから間もなく,リニア型電子スキャンが使えるようになった.以下は,いずれも忘れられない思い出である.
20歳代前半の若い女性が上腹部痛と黄疸・発熱で外科に入院となった.閉塞性黄疸が疑われたため,最初にERCPが選択された.しかし,2度トライしたが,どうしても胆管造影ができずに終わった.熱は続き,ビリルビン値も急速に上昇し,20mg/dlを超えていた.外科医は次の手としてPTC(経皮経肝胆道造影)を考えていたが,その前に“柳の下のどじょう”ではないが,エコー検査をやってみようということになった.当時,エコー検査の有用性については,まだまだ半信半疑だったのである.おもむろに探触子を当てると,すぐに閉塞性黄疸の状態であることがわかった.同時に拡張した総胆管の末端部に1cm大の結石が明瞭に捉えられた.胆嚢にも同大の結石が複数あり,その落石と思われた.患者が美しい年若い女性の総胆管結石であったこともあるが,そのときの総胆管結石の見事な画像が鮮明に脳裏に焼き付いている.外科医は感嘆し,手術室に走った.
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