演習・X線診断学 血管造影写真読影のコツ・6
胆道系疾患
古寺 研一
1
,
平松 京一
1
1慶大放射線診断部
pp.866-871
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207246
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はじめに
従来胆道系のX線診断は,単純X線写真,上部消化管透視,および経口ないし経静脈的胆のう造影によって行われてきました.これらの検査は,ルーチン検査としてまず施行されるべきもので,とくに胆のう炎や胆石症などの診断には不可欠の検査であることはいうまでもありません.さらに近年になって,経皮経肝胆管造影(PTC)および内視鏡的膵胆管造影(EPCG)が開発されて,胆道系の悪性腫瘍についても,かなりの情報が得られるようになりましたが,これらのテクニックを用いてもなお,胆のう癌の術前診断はむずかしく,また炎症性疾患との鑑別もかなり困難なことがあります.
近年になって,Seldinger法により,経皮的に腹部大動脈分枝を造影するテクニックが確立され,腹部臓器の選択的血管造影が容易にかつ安全に行えるようになり,当然胆道系にも応用されるに至りました.さらに超選択的血管造影,薬理血管造影などを行うことによって,この領域の悪性腫瘍の診断の精度がかなり向上してきています.
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