今月の主題 「考える」診断学—病歴と診察のEBM
考える診断学の実際
common symptoms and signs編
かぜ症状—どのようなときに副鼻腔炎を疑うか
木澤 義之
1
1筑波メディカルセンター病院総合診療科
pp.1438-1441
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907608
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なぜ正しい診断が重要か?
かぜ症状を訴えて外来受診する患者は数多い.現在日本の一般臨床の場では,かぜ症状に対して抗生剤が処方されることが多いが,いわゆるかぜ症候群はウイルス性で,自然治癒することが多い疾患であり,すべてのかぜ患者に漫然と抗生剤が処方されることがあってはならない.かぜ症状を訴える患者で,抗生剤を処方する必要がある主たる疾患が3つある.それは,急性扁桃腺炎,肺炎,副鼻腔炎である.急性扁桃腺炎,肺炎については他書に譲り,本稿では,かぜ症状を訴える患者のなかから,いかにして的確に副鼻腔炎を起こしている患者を拾い上げるかを述べる.
副鼻腔炎の診断のゴールドスタンダードは,副鼻腔穿刺と膿汁培養である.しかしながら,副鼻腔炎を疑った全患者に副鼻腔穿刺を行うのは,苦痛を伴うため現実的ではなく,実際には副鼻腔の単純X線写真がreference standardとなっている1,3).つまり,本稿の主題の一つは「かぜ症状を訴える患者の診察にあたり,どのようなときに副鼻腔単純X線写真をオーダーするか」であると考えてもよい.
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