今月の主題 症例から学ぶ水電解質・酸塩基平衡異常
症例・Ca・P代謝異常,その他
透析患者にみられた高P血症
石村 栄治
1
,
山田 真介
1
,
森井 浩世
1
1大阪市立大学医学部第2内科
pp.928-932
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907500
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【症例】29歳,男性.小学校5年時に血尿・蛋白尿を指摘されたが,放置.21歳時に腎不全を指摘され,22歳時に血液透析導入.その後,週3回の維持透析をしていた.暴飲暴食が多く食事療法は十分でなく,炭酸カルシウム3g/日内服中であったが,しばしば高P血症を指摘されており,また透析除水量も多かった(ドライウェイト60kg,除水量4,000〜5,000ml).28歳時より肘関節痛がみられ,腰痛,踵痛など全身の骨・関節痛が増悪し,全身の皮膚掻痒感がみられた.高PTH(副甲状腺ホルモン)血症,高ALP(アルカリホスファターゼ)血症がみられ,ビタミンDパルス治療(1,25(OH)2D33μg週2回内服)が施行された.しかし,治療効果は不十分であり,高P血症,異所性石灰化(関節周囲,四肢動脈ほか,図1)がみられ,副甲状腺摘出術の検討にて入院となった.
血液検査:TP 5.4g/dl,Alb 3.4g/dl,ALP 320IU/l,Na 142mEq/l,K 5.8mEq/l,Cl 105mEq/l,Ca 10.2mg/dl,P 8.9mg/dl,中間部PTH(HS-PTH)214,000pg/ml,intact PTH 829pg/ml
副甲状腺エコー:4腺の腫大を認める(右上15.1×8.1mm,右下20.8×12.7mm,左上9.2×5.2mm,左下17.2×10.8mm)
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