今月の主題 水と電解質
電解質異常の実際
高P,低P血症
小椋 陽介
1
Yohsuke Ogura
1
1東京慈恵会医科大学・第2内科
pp.732-733
発行日 1983年5月10日
Published Date 1983/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218259
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□リン代謝
健常成人の体内リン(P)総量は500〜800g,その80〜90%が骨にヒドロオキシアパタイトとしてあり,9〜15%が骨格筋にある.骨格筋をはじめ軟部組織にあるPのほとんどが細胞の有機リン酸化合物であり,無機P(Pi)は少ない.細胞外液中のPは体内総量の1/1,000,600〜700mgである.血漿Pは酸不溶性(有機P,リン脂質)と酸溶性(有機リン酸エステルとPi)の分画に含まれるものに分けられる.すなわち血漿P約14mg/dlのうち9mg/dlは有機Pである.PiはH3PO4⇄H++H2PO4-⇄H++HPO42-⇄H++PO43-から由来している.Piは蛋白と結合し非限外濾過性分画が10〜15%,85〜90%が限外濾過性で,イオン(HPO42-43〜68%,H2PO4-10〜17%)が85%,複合体(CaHPO43%,MgHPO42%)が5%からなる.なおイオンはpH=6.8+log〔HPO42-]/〔HPO4-〕の関係にあって,pH 7.4ではHPO42-とH2PO4-の濃度比は4:1である.H3PO4,PO43-は無視しうるほど少ない.したがってこの濃度比の混合液は中性リン酸溶液といわれ,平均電価は1.8である.このほか,Piにはピロリン酸があるが,非常にわずかである.
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