内科エマージェンシー 私の経験
入院半歩手前の心不全
小坂田 宗倫
1
1小坂田医院
pp.325
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907153
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心不全の急性増悪は集中治療の対象となり,難渋することも多い.今回は在宅での加療に成功した心不全の2症例を呈示する.
〔症例1〕89歳女性,僧帽弁閉鎖不全で内服治療中であったが,服薬コンプライアンスは不良であった.呼吸困難とボケを主訴に夕方家人に連れられ来院.全身浮腫,全肺野にラ音を聴取する.胸部X線で肺うっ血が著明で,胸水貯留を認める.腹部エコーで肝静脈の拡張,腹水を認め,心エコーでは4度の僧帽弁逆流,軽度の心嚢液貯留,三尖弁逆流から推定した肺動脈圧は43mmHgであった.入院を望まれなかったため在宅で加療とした.以前からACE阻害薬,利尿剤を投与しており,これを厳重に服用させることとし,さらに経口でフロセミドを4時間おきに計120mg内服させた,夜間に多量の尿が出て,翌日には呼吸困難とボケは軽減し,肺動脈圧の推定値も33mmHgまで低下していた.この後は内服治療で良好なコントロールである.
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