内科エマージェンシー 私の経験
子宮外妊娠の苦い思い出
岡野 信行
1
1京王八王子クリニック内科・循環器科
pp.264
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907124
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医師になって1年,総合病院の内科研修医で,内科当直を一人立ちした頃でした.二十歳前後の未婚女性が腹痛で救急外来を受診しました.若い女性の腹痛なので型どおり妊娠の有無,最終月経を聞きました.「もともと生理不順だが1週間前に生理があった.妊娠はしていない」との返事でした.それを聞いて一安心してしまいました.腹部の診察をし,膀周囲に軽い圧痛はあるものの特に目立った所見はなく,バイタルサインも安定しており,急性の胃腸炎であろうとの診断で帰しました.その後腹痛も消失していたそうです.
ところが3日後,その女性が救急車で搬送されてきました.子宮外妊娠の卵管破裂に伴う出血性ショックでした.幸い緊急手術で事なきを得ましたが,「なんで」という気持ちでした.
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