増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
免疫複合体
今福 裕司
1
,
吉田 浩
1
1福島県立医科大学臨床検査医学
pp.608-609
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906497
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血清病などの病因研究から,免疫複合体(immune complex:IC)の病因的意義が確立された.1970年代には血中IC検出がほとんどの疾患について行われ,検出法についてのIUIS/WHO Working Groupによる成績評価が1981年に報告された.その後,ICの研究活動は急速に低下したが,近年モノクローナル抗体を用いた測定法が開発され日常臨床上利用可能となっている.
ICが病因的意義を果たしている疾患は免疫複合体病(IC病)の範疇に含まれるものと考えられ,CoombsとGelのアレルギー分類ではIII型反応に分類されている.疾患としては血清病,SLE(全身性エリテマトーデス),糸球体腎炎,PN(結節性多発性動脈炎),過敏性肺臓炎などが含まれると考えられている.ICすなわち抗原抗体複合物は,正常な免疫応答で炎症局所にて生成されるものであるが,これが何らかの機序で大量に生成され組織に沈着すると,それに対し好中球や補体系などの関与により種々の組織障害が発生し,IC病を形成するものと考えられる.それらIC病では,血中ICが高値を呈することが多い.
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