特集 アレルギーと自己免疫
I.免疫機能―最近の進歩
7.免疫病変の発生機序
2)補体と免疫複合体
吉田 浩
1
Hiroshi YOSHIDA
1
1福島県立医科大学検査部
pp.69-70
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900803
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■Arthus現象と血清病
異種蛋白で免疫され,十分な抗体産生がみられているウサギの皮膚に同一抗原を注射すると,局所に炎症が発現し,1~2日後に壊死~潰瘍形成がみられる.このArthus現象は,皮膚~皮下組織での免疫複合体による局所性病変のモデルと考えられている.
抗毒素血清などによる血清療法を受けると,注射後10日前後に発熱し,発疹,リンパ節腫脹,関節炎がみられ,腎病変により尿蛋白陽性となる.この病態は血清病と呼ばれ,免疫複合体(immune complex;IC)による機序がGermuthやDixonらにより立証された.以後,免疫複合体病の名称が定着した.ウサギに131I標識BSAを注入すると,10日前後に関節炎や尿蛋白の出現をみる.この時期には血清補体活性の低下とともに免疫複合体が検出される.病変臓器を蛍光抗体法で検索すると顆粒状沈着が認められ,これを構成するものは注入されたBSAと産生されたウサギのIgG抗体であった.さらに,免疫複合体消失後には抗BSA抗体のみが見いだされ,病変は治癒に至る.本病変は免疫複合体病の代表的実験モデルで,本症発現には免疫複合体と補体の関与が重要であると考えられた.
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