増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗好中球細胞質抗体(ANCA)
吉田 雅治
1
1東京医科大学八王子医療センター腎臓科
pp.606-607
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906496
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)は,1982年Daviesらにより,腎の半月体形成を伴う巣状,壊死性糸球体腎炎を示す患者に初めて見いだされた,ヒト好中球細胞質に対するIgG型の自己抗体である.主として腎や上気道,肺の細・小動静脈および毛細血管の壊死性および肉芽腫性血管炎を呈する諸疾患に高率に見いだされ,疾患活動性と相関してANCAが変動する傾向を認める.ANCAは蛍光染色パターンにより好中球の細胞質がびまん性顆粒状に染色されるcytoplasmic(C)-ANCAと,好中球の核の周辺が強く染色されるperinuclear(P)-ANCAに大別される.C-ANCAの対応抗原は好中球細胞質α顆粒中のproteinase-3(PR-3)で,Wegener肉芽腫症(WG)に高率に見いだされる.一方,P-ANCAの対応抗原は主として好中球細胞質α顆粒中のmyeloperoxidase(MPO)で,特発性半月体形成腎炎(ICr-GN)および顕微鏡的多発血管炎(MPA)に高率に見いだされる.
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