臨床免疫学講座
免疫複合体と疾患
堀内 篤
1
,
数田 康仁
1
Atsushi HORIUCHI
1
,
Yasuhito KAZUTA
1
1近畿大学医学部・第3内科
pp.1102-1106
発行日 1980年7月10日
Published Date 1980/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216604
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ある種の抗原,たとえばウシガンマグロブリン(BGG)で動物を感作し,血清中にBGGに対する抗体が上昇した時期に採血し,分離した血清を試験管に入れ,その中にBGGを加えると白濁して沈降物ができる.この沈降物は抗原と血清中の抗体(沈降抗体)が反応してできた抗原・抗体複合物,すなわち免疫複合体immune complex(IC)である.
生体内でも外から入った抗原あるいは自己免疫疾患のように抗原性をもった体の成分と,それに対する抗体との間でICが形成されている.このICはふつう網内系などの食細胞に貪食されて処理されている.これをimmune eliminationとよんでいる.つまりこの過程は自分にとって不利となる抗原に対する生体の防御反応である.しかし,ICが食細胞でうまく処理されないような状態になれば,疾患として発症することがある.これがCoombs and Gellのアレルギー病変分類によるIII型の免疫複合体過敏症である.一般にICが病因の主役である疾患を免疫複合体病immune complex diseaseとよんでいる.
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