特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
2.自己免疫疾患の検査
5)自己抗体
(24)抗好中球細胞質抗体
吉田 雅治
1
Masaharu YOSHIDA
1
1東京医科大学八王子医療センター臓器移植部腎臓内科
pp.238-240
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900862
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はじめに
抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmicantibody;ANCA)の報告は,1982年Daviesら1)が半月体形成を伴った巣状,壊死性糸球体腎炎の患者血清中に認めたのが最初である.近年,ANCAがWegener肉芽腫症(Wegener's granulomatosis)の疾患標識抗体であり,疾患活動性の指標になると報告され2,3柱目されている.Wegener肉芽腫症のANCAは,蛍光抗体間接法(indirect immunofluorescence assay;IIF)上,ヒト好中球細胞質がびまん性に染色される(cytoplasmic ANCA;C-ANCA)点が特徴である.一方,最近,顕微鏡的結節性動脈周囲炎(microscopicpolyarteritis nodosa),特発性半月体形成性腎炎(idiopathic crescentic glomerulonephritis)においてもANCAが検出されている4,5).これらはIIF上好中球の核周辺が強く染色され(perinuclear ANCA;P-ANCA),Wegener肉芽腫症のC-ANCAと区別される.すなわち,血管炎症候群6,7)および腎炎を呈する諸疾患のなかで,ANCAが病態に関与するANCA associated vasculitis and glomerulonephritisがあり注目されている.
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