増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗好中球細胞質抗体
吉田 雅治
1
1東京医科大学八王子医療センター臓器移植部腎臓内科
pp.638-640
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909971
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検査の目的・意義
抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)は,1982年,Daviesらが半月体形成を伴う巣状,壊死性糸球体腎炎患者に蛍光抗体法により初めて検出したIgG分画に属する自己抗体である.その染色パターンよりC-ANCAと,P-ANCAに分類される.1985年,WoudeらはC-ANCAがWegener肉芽腫症,1988年にFalkらはP-ANCAが顕微鏡的多発動脈炎(MPA)とpauci-immune型半月体形成性腎炎(ICr-GN)で特異的に検出されることを明らかにした2).筆者らもわが国で初めて,これら諸疾患でANCAが検出できることを報告した3).
近年,ANCAに関する基礎的,臨床的研究が進み,Wegener肉芽腫症,MPAをはじめとする血管炎,ICr-GNをはじめとする腎疾患,および潰瘍性大腸炎,Crohn病などの炎症性腸疾患においてANCAが陽性に検出され,病因・病態との関連が明らかにされている4).ANCAは血管炎,膠原病,腎疾患,炎症性腸疾患を呈する諸疾患において測定されるべき新しい自己抗体検査といえる.
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