増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗ENA抗体
佐藤 和人
1
1日本女子大学保健管理センター食物学科(臨床栄養)
pp.576-577
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906477
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗ENA抗体は,細胞核成分中の可溶性抗原であるENA(extractable nuclear antigen)に対する抗体である.ENAは混合性結合組織病(MCTD)患者血清中の抗体が反応する抗原として見いだされた.狭義の抗ENA抗体は,可溶性核抗原で感作した赤血球を用いた受身血球凝集反応(PHA)で検出される.感作赤血球をRNase処理すると,凝集反応が消失する抗体(RNase感受性)と反応が残る抗体(RNase抵抗性)に分類する.その後,RNase感受性抗体は抗U1-RNP抗体に対応し,RNase抵抗性抗体は抗Sm抗体に対応することが明らかになっている.抗U1-RNP抗体は各種の自己免疫性リウマチ性疾患において検出されるが,MCTDでは特に疾患標識抗体として重要である.抗Sm抗体はSLEの疾患標識抗体であり,陽性率は低いが特異性は高い.広義の抗ENA抗体は,二重免疫拡散法によって検出される多くの非ピストン核蛋白に対する抗体を総称する.対応する抗原には,核内RNA蛋白としてU1-RNP,Sm,SS-B/La,細胞質RNA蛋白としてJo-1など,DNA関連核蛋白としてScl-70,PCNA,Kuなどが挙げられる.
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