増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
酵素および関連物質
IV型コラーゲン・7S
五十嵐 省吾
1
1東京専売病院内科
pp.298-299
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906353
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
慢性肝疾患の終末像は肝硬変であり,線維の増成により硬化した組織は周囲を圧迫して,種々の症状を呈するに至る.肝線維化で増成するのは,主としてI,III,およびIV型コラーゲンである.肝線維化の過程で,その初期にはIII型コラーゲンが増加し,やがてI型コラーゲンの増成が優位になる.IV型コラーゲンはラミニンとともに基底膜の構成成分で,血管内皮細胞,胆管,細胆管周囲などに分布し,肝実質域では類洞壁細胞と肝細胞索の間に沿って存在し,線維化の過程での,いわゆるcapillarizationの現象として増加が認められる.
線維化の診断は,最終的には肝生検による組織診断によらざるを得ないが,この方法は時に重大な事故につながることもあり,安全かつ簡便で非侵襲的な検査法が模索されてきた.1969年になってIII型プロコラーゲンのN末端ペプチドの測定法が発表され,以来いくつものいわゆる線維化マーカーが開発され,臨床に応用されてきた.IV型コラーゲンは基底膜の構成成分であり,肝線維化の過程での線維増成に伴って血中にその構成成分(7SやTHなど)の増加が認められ,線維化の程度とよい相関を示すため,優れた線維化マーカーとして認知されてきた.
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