増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液検査
血球検査
網赤血球数
奈良 信雄
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科臨床検査医学
pp.115
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906269
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異常値が出るメカニズムと臨床的意義
網赤血球(reticulocyte)は,骨髄内で赤芽球が脱核した直後でミクロソームやリボソームが残っている赤血球のことである.1〜2日の寿命を経て成熟赤血球となり,末梢血液中にはごく少数しか存在しない.赤血球をメチレン青などで超生体染色してRNAが網状に染まった赤血球を視算法でカウントするか,RNA染色して自動測定装置で測定し,赤血球当たりの比率で算出する.
出血や溶血などによって赤血球系の造血が旺盛になると,網赤血球が増える.この際,骨髄から通常よりも早く末梢血液に流出し,かっ網赤血球の寿命も長くなる.したがって,貧血が起きれば代償的に網赤血球が増えることになる.もしも貧血があるのに網赤血球数が増えていないか減少していれば,再生不良性貧血や赤芽球癆など,赤血球の造血そのものに問題があると解釈できる.
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