臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅵ.血液検査
34.網赤血球数
溝口 秀昭
1
Hideaki Mizoguchi
1
1東京女子医科大学・第1内科
pp.2166-2167
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219355
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値を示す疾患
網赤血球は図に示したように新しく産生された赤血球である.ブリリアントクレシルブルーまたはニューメチレンブルーで超生体染色を行うと同定される.正常人では赤血球の寿命が約120日であるので,その喪失に見合う赤血球の産生が行われている.正常人では網赤血球の寿命は約1日であるので,全赤血球の約1%にあたる網赤血球が末梢血中に認められる.しかし生体から赤血球の喪失(貧血)が起こると,図に示したような経路が正常に働いていれば,その喪失に見合うだけの赤血球産生の増加が起こり,網赤血球数は異常に増加する.その典型的な例が表のⅠに示した各種溶血性貧血と急性失血性貧血である.そのほか,新生児期には生理的に網赤血球数は2〜6%と増加する.また髄外造血がある場合や摘脾後にも増加が認められるが,これらは赤血球産生の増加によるというより,むしろ前者では造血部位からの網赤血球の放出の程度の変化,後者では網赤血球のクリアランスの程度の変化によるものと思われる.また,ビタミンB12,葉酸や鉄欠乏の治療期には網赤血球の急激な増加が起こり,これによって逆に診断が確認される.
図に示すような経路がよく働いていないような貧血では,貧血相応の赤血球産生の増加は起こらず,ひいては網赤血球の増加はみられない.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.