今月の主題 下痢と便秘
下痢の特殊病態—病態,診断から治療まで
抗生物質関連性腸炎
岩男 泰
1,2
,
渡辺 守
4
,
日比 紀文
3,4
1慶應義塾大学内視鏡センター
2慶應義塾大学医学部消化器内科
3慶應塾義大学医学部内科
4慶應がんセンター
pp.1460-1462
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906173
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●抗生物質の投与に関連して菌交代現象として生じる腸炎であり,偽膜性大腸炎,出血性大腸炎,MRSA腸炎がある.
●偽膜性大腸炎は,大腸内視鏡検査で特徴的な偽膜形成がみられれば確定診断がつく.
●出血性大腸炎は虚血性腸炎との鑑別が必要であるが,主として横行結腸から上行結腸の深部結腸に好発する.
●MRSA腸炎は小腸が主病変であり,麻痺性イレウスを呈する.
●一過性下痢および出血性大腸炎は,起因抗生物質の投与を中止すれば,対症療法のみで軽快することが多い.
●偽膜性大腸炎,MRSA腸炎では基礎疾患をもつ患者が多く,全身管理が重要であり,塩酸バンコマイシンを経口投与する.
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