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C. difficile(Clostridioides difficile)は偏性嫌気性グラム陽性桿菌で,芽胞を形成することによって各種抗菌薬に耐性を示す.C. difficileは1935年に初めて分離され,当時は分離が非常に困難であったことから,ラテン語で“困難な”を意味するdiffi・cileがその名の由来となっている.最近の遺伝子解析でFirmicutes門Clostridia綱Clostridiales目Peptostreptococcaceae科であることがわかり,2016年にClostridiumからClostridioidesに改名された.
C. difficileは河川や海水や土壌などの環境中に存在し,ペット,家畜,健常者の腸管からも検出されるが,正常な細菌叢を持つ健常者の腸内では増殖は抑制されている.しかし,抗菌薬の投与によって腸内細菌叢が乱れると,腸管内で毒素を産生するC. difficileが異常増殖し,発熱や下痢を引き起こし,C. difficile感染症(C. difficile infection ; CDI)を発症する.また,これらをC. difficile関連下痢症(C. difficile-associated diarrhea ; CDAD)やC. difficile関連性腸炎(C. difficile associated colitis ; CDC)と称することもある.有症状でC. difficile toxin陽性であればCDIと診断される.しかし,C. difficile toxinの検査をもってしてもCDI患者の58〜84%程度しか陽性にならず(感度),C. difficile toxin陰性でも否定はできない1).
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