発行日 1949年12月15日
Published Date 1949/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906568
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ペニシリンの發見 科學の進歩は偶然一つの事物を見出した動機から偉大な発展にまで進んで行く事が多い。サルファ劑とペニシリンとは近代醫藥界における驚異的な出現である。この二つの偉大な發見は倶に偶然の動機によつて見出された。
即ちペニシリンは1928年(昭和3年)英國のフレーミングが,葡萄状球菌の培養中に青かびが入つて,その周圍の葡萄状球菌は消失して透明であるととから青かびは葡萄状球菌の發育を阻止する物質を出すものと考え,實驗によつてその考えが事實である事を確めた。青かびの學名ペニシリゥムからこの物質をペニシリンと命名したが,その後約10年間殆ど世人の注意をひかずにすぎた。
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