iatrosの壺
尿路感染症で来院した喘息の患者さん
林 浩司
1
1新潟県立小出病院内科
pp.533
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905781
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暮れも押し詰まった12月31日,深夜,救急外来に58歳の女性が受診.数日前より排尿痛があり,尿が濁っているという.この春に子宮筋腫で子宮摘除の手術を受けている.手術を受けてから何度か同様の症状で近医を受診し,内服薬を処方され軽快していた.今回は,その薬が余っていたので飲んでいたが改善せず,年末で医院も休みなので救急外来を受診したとのことであった.また,喘息を患っていたが,今は発作はないということであった.検尿の結果,沈渣尿中WBC多数/HPF,RBC1〜5/HPF,他の細胞成分などはみられなかった.尿路感染症(膀胱炎)と診断したが,子宮筋腫の手術後,頻回に感染していること,近医より処方された,おそらくは抗生物質が今ひとつ有効でないことなどから,複雑性膀胱炎で,βラクタマーゼ産生菌の感染も考えられたため,ニューキノロン剤(TFLX150mg×3)を7日分処方した.
6日後,患者さんが再来された.「排尿痛はなくなり,尿の濁りもなくなりました.喘息の調子も非常によく,正月はきわめて快適に過ごせてありがとうございました.しかし,昨日より心なしか,ドキドキするような,また手も心なしか,振るえるような気がするのですが,脳卒中になったんじゃないかと心配で診てもらいに来ました」と.
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