iatrosの壺
慢性関節リウマチに対するアザチオプリン,メトトレキサート併用による顆粒球減少症・敗血症の救命例
大島 充一
1
1東名厚木病院内科
pp.436
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905702
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抗リウマチ薬として使用される免疫抑制薬のなかには,少量であっても強い骨髄抑制をきたし,重篤な感染症を合併させる場合も少なくない.今回,アザチオプリン,メトトレキサートを投与されていた慢性リウマチ患者が敗血症を合併して来院し,救命にいたった経験をしたので報告する.
症例は60歳女性.10年前より慢性関節リウマチを発症し,リウマチ専門病院に通院していた.1年前よりアザチオプリン1日50mgを服用して最初は有効であったが,2カ月前より関節痛の増悪が認められたため,1カ月前からメトトレキサート2.5mg週1回服用を併用で処方されるようになった.2日前より38℃の発熱と咽頭痛を認め,当院受診当日の朝から40℃の発熱と悪寒戦藻を訴えるようになったため自宅に近い当院を訪れた.当院初診時の末梢血には白血球数500/μl,好中球数100/μl,赤血球数450万/μl,血小板数8万/μlであった.この時,関節痛は全く訴えておらず,抗リウマチ効果は十分に得られていた.直ちに入院とし,骨髄穿刺を行ったところ,骨髄有核細胞数7千/μl,顆粒球系細胞約10%以下と著明な骨髄抑制が認められた.血液培養からグラム陰性桿菌(後に緑膿菌)を検出し,ペントシリンとイセパマイシン併用静注投与を行い,G-CSF250μg/dayの皮下注も使用した.入院後10日目に解熱,末梢血顆粒球数500/μl以上までの改善が得られた.腎・肺・心機能障害を残さず3週間の入院で以後退院となった.また,リウマチの活動度は顆粒球の増加(5,000/μl以上)とともに再度上昇するのが観察された.
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