増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
腎疾患治療薬
ACE阻害薬(腎不全進行阻止・蛋白尿治療薬)
カプトリル(三共—ブリストル)
石橋 由孝
1
,
花井 順一
2
,
奥田 俊洋
3
1茨城県立中央病院内科
2東京大学医学部第1内科
3東京大学医学部保健センター
pp.399-400
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905673
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臨床薬理
●作用機序:本剤をはじめとするACE阻害薬の作用機序は,主としてアンジオテンシンII産生の抑制と,一部にブラジキニン分解の抑制を介すると考えられる.ACE阻害薬が最近注目を集めているのは,心・腎等の臓器保護作用やインスリン抵抗性の改善など,降圧作用以外の長期予後に対する効果が認められるようになったためである.腎糸球体では,アンジオテンシンIIは輸入細血管より輸出血管に強く作用するので,ACE阻害薬により糸球体輸出細血管のほうがより拡張し,糸球体内圧が低下する.このことは糸球体にかかる負荷を軽減することになるので,長期的にみると,腎疾患における糸球体機能低下の速度も軽減する可能性がある.実際ACE阻害薬による蛋白尿減少などの腎保護作用は,糖尿病ラット,部分腎臓摘出ラットなど実験動物において十分確かめられている.臨床的にも,蛋白尿(500mg/day以上)があり,血中クレアチニン値が2.5mg/dl以下の軽度〜中等度の糖尿病性腎症をもつIDDM患者でカプトリルを使用すると,末期腎不全への進行が半減することが示された1).
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