カラーグラフ 塗抹標本をよく見よう・11
白血病(1)
久保西 一郎
1
,
藤田 智代
2
,
森澤 美恵
2
,
浜田 恭子
3
,
高橋 功
4
,
三好 勇夫
1
1高知医科大学第3内科
2高知医科大学大学附属病院中央検査部
3高知県立中央病院血液検査科
4高知県立中央病院内科
pp.2211-2215
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905380
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急性リンパ性白血病
図1は急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia:ALL)の末梢血塗抹標本である.小型で,細胞質の乏しい均一なリンパ芽球が多数出現している.FAB分類でL1と分類される症例である.標本を観察していると,ALL細胞に混じって,図2で示すような壊れた細胞(図中↓)が認められた.これらは第9回の連載でも紹介したが,グンプレヒトの核影(Gumprecht shadow)と呼ばれるもので,塗抹標本を作成するときに壊れた白血病細胞の核残存物である.特にリンパ増殖性疾患の際によく認められる.
この塗抹標本の観察を続けていると,図3に示す形態をした核影が認められた.Gumprecht核影にはバスケット細胞(basket cell)という名もついているが,なるほど図3で示した核影はどこか果物かごに似ている.Basket cellという名はこのような観察から由来したのではないだろうか,などと思いながら写真を撮った次第である.
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