増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 1 総論
1.血液学の基礎知識
3)凝固・線溶因子とその調節機構 a)止血機序と線溶機序
小山 高敏
1
,
広沢 信作
2
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
2東京医科歯科大学医学部第1内科
pp.648-650
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905407
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はじめに
健康なとき,血管内は,血液が固まらないようにする抗凝固機序が優位に働き,血液は滑らかに流れる.しかし,いったん出血すると,出血が起こっている場所で,効果的に血液が固まって出血を止めるように血栓ができる(止血栓の形成).止血の最初の反応は,血小板が傷害部位へつき(粘着),さらにお互いにつく(凝集)ことで,これを一次止血と呼ぶ.次いで血液の凝固が起こり,出血が完全に止まるようになり,これを二次止血と呼ぶ.血栓のでき過ぎを防ぎ,血栓を溶解しようとする反応をフィブリン(線維素)溶解(線溶)と呼び,生理的にも存在するが,通常は線溶を抑える因子の働きのほうが強く隠されている.
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